草加太鼓クラブ

埼玉県草加市で活動している和太鼓団体「草加太鼓クラブ」のブログ。

口伝は太鼓のことば

太鼓の譜面はよく「かな(平仮名や片仮名)」で書きます。これを「口伝」といって、暗記して口ずさみながら練習します。古い口伝は縦書きだったりしますが、今は横書きが多いです。
※ちなみに笛の譜面は数字で書かれています。
インターネットで調べたら、いろいろなタイプの口伝の譜面が見つかりましたが、標記法がばらばらで、どれも音がつかみにくいです。わかりやすく統一した口伝があればいいのに、と思いました。

また「唱歌(くちしょうが)」 という用語にも行き当たりました。
論文がいくつか見つかりましたが、音楽と幼児教育が専門の大学教授である中西智子さんはこう書いています。。

唱歌(しょうが)〉とは、我が国の雅楽伝承で楽器の旋律あるいはリズムを「ことば」で唱える用語を指していう。今日では、一般的に日本の伝統音楽の用語としてく唱歌〉または〈口唱歌(くちしょうが)〉という呼称が用いられている。(「口唱歌によるリズム学習者の心拍について : 和太鼓の事例」(中西智子))

http://miuse.mie-u.ac.jp:8080/bitstream/10076/6721/1/AA1209733305626.pdf

この論文によると、口唱歌は「ことば」であり、音楽のイメージに適した「ことば」を指導者から伝達されると、受講者は「ことば」を習得することで音楽理解が助けられる、のだそうです。
そしてグループで演奏する際に「ことば」のニュアンスを共有し、呼吸の【息を合わせる】ことが可能となるとも書いています。

以前「太鼓を言葉につかう民族 川田順造(文化人類学) NHK 爆笑問題のニッポンの教養」という番組を見ました。
文化人類学川田順三先生が、アフリカのある民族は「太鼓の言葉」が歴史を語る、という驚異の事実を紹介していました。つまり太鼓の音が言葉の代理として機能している。
一方、太鼓の口伝は、太鼓のフレーズを記した「ドンドコドコドコ」そのものが音楽理解を共有し息を合わせるための「ことば」として機能しているということだと思います。
(染谷)