草加太鼓クラブ

埼玉県草加市で活動している和太鼓団体「草加太鼓クラブ」のブログ。

太鼓修行に行きたくなった (昔のブログ再録)

以前所属していた阿波おどりグループ「ほおずき連」のブログからシリーズ。
2007年9月25日の記事です。ではどうぞ !

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9月22日土曜日、太鼓クラブのメンバーと一緒に浦和の埼玉会館大ホールに行って来ました。
【私たちの場所 浦和商業定時制「来た道、往く道」】というイベントを観るためです。
このイベントは第一部の映画上映と第二部の太鼓演奏で構成されています。

★第一部 ドキュメンタリー映画「生きる希望をくれた場所-浦商-」

この映画は、2002年4月に入学した生徒たちを4年間教室の中に入り込んだカメラマンが延々と撮影し続けたビデオを編集したものです。

なんらかの問題があって全日制の高校をあきらめた少年少女たちが集まる場所が、夜の学校、定時制です。
1年生のころの教室は、酒を飲んできて教室のうしろでぶつぶつ言っている生徒や、教室の中に入れず窓からのぞいている生徒もいたりして、寒々とした雰囲気です。
この教室が4年間(定時制は4年制らしい)で大変貌するんです!
クラスメートたちの仲間意識が育ち、さらには積極的に自分から学ぶ意識を高めていくようになるんです。
ものすごい変貌 !
相変わらず髪を染めたりピアスをしたり服装がだらしなかったりするんだけど、中身の人間がまるで別人です。
まっすぐ前を見るようになるし表情が豊かだし、先生にむかってしっかりとものを言うようになる。
学校の力って偉大なんだなと、実感しました。学校によるのでしょうけど。
残念なことに浦和商業定時制はもうすぐ廃校になります……。

★第二部 和太鼓集団「響」旗揚げ公演「道-Michi-」

浦和商業定時制には太鼓クラブがあって、熱心に技を磨いてきています。埼玉新聞の3年前の連載でその姿が詳しくわかります。

http://www.saitama-np.co.jp/main/rensai/kyouiku/hibiki/index.html

(※リンク切れで、該当する記事も発見できませんでした<追記>)

いっしょに行った太鼓クラブの仲間で元小学校教員の女性は浦和商業定時制の教員たちと面識もあり、その太鼓クラブとも親しくつきあっています。
彼女によると、リーダーの青年は浦商定時制を卒業したあと、太鼓クラブの卒業生の精鋭部隊を中心にして和太鼓集団「響(ひびき)を旗揚げしたのでした。
彼は朝から晩まで太鼓を練習していて、佐渡鼓童に修行に行ったりもしたそうです。プロの太鼓奏者になりたいという気持ちを抱いているそうです。
ちなみに、今回の公演のある演目に僕たちにも出てみないかという誘いもあったのですが、練習の時間が取れないので断ったのでした。

まあお手並み拝見といきましょうか、と気軽に臨んだ太鼓演奏でしたが、始まったらぶちのめされました。
プロのレベルだったのです。

前半は伝統的な演目。
「ぶちあわせ太鼓」「三宅太鼓」「秩父屋台囃子」
余計な掛け声を出さない、ストイックで一糸乱れぬ緊張感みなぎる演奏でした。

いったん緞帳が下り、緞帳の前で男性2人が太鼓を叩き始めました。おや? フレーズが「ぶちあわせ太鼓」に似ている……。
と思った直後に地響きがとどろき出しました。
緞帳が上がると、なんとステージ上にびっしりの太鼓叩きたち !
太鼓は20基ぐらいあったでしょうか。それぞれの太鼓を3人で交代に叩くから60人ぐらいはいたかもしれません。
「響」のメンバー、若い在校生たち、卒業生たち、支援してくれた先生たち、みんなで「ぶちあわせ太鼓」を気持ちを一つにしてぶっ叩いているのです。
これはきますよ。じわーっと感じてきますよ。
ああそうか! 僕たちが誘われていたのはこの演目だったんですね !
ここにいっしょに立てたかもしれなかったんですね !
ちょっと悔しい……。

後半は現代的な演目や彼らが自分で作った曲でした。
複雑なポリリズムの曲が多く、前半の「和」な世界に対して後半は「ワールドミュージック」的な世界。
前半のストイックな雰囲気に対して、後半は笑顔があふれる開放的な世界。
リーダーのスーパープレイもたっぷり堪能できました。
とくにかつぎ桶胴太鼓。華麗な撥さばきと軽やかに跳ね踊る足さばきがすばらしい。

帰り道、いっしょに公演を見た太鼓クラブのメンバーとしみじみと話しました。
「うちのクラブももっとレベルを上げたいですね」
「そのためにはまず最高の演奏のイメージを持つ必要があるんでしょうね」
「どこかにちょっと修行に行きたいものですね……」
「行きたいものですね……」

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以上です。

さてその後の太鼓集団「響(ひびき)」はというと、順調に活発に活動を広げていることがわかりました。
また、彼らは2014年に浦和商業定時制時代の恩師といっしょに桶川市HIBIKI Cafeという店を開き、訪れる人においしいコーヒーとなんでも話せる場所を提供しています。

www.tbsradio.jp

(染谷)